高齢者医療治療拒否・中止裁判
高齢者医療治療拒否・中止裁判の第1回口頭弁論が2014年11月20日(木)午後1時10分から東京地方裁判所610法廷で開催される(平成26年(ワ)第25447号 損害賠償請求事件)。治療中の母親に対し、酸素マスクすらつけず、死に至らせたとして、兄夫婦(長男夫婦)と病院経営団体を相手に提起した裁判である。事件が係属する民事35部は医療専門部である。論点は89歳で他界した母親の治療に最善が尽くされたかである。訴状によると、原告は母が人工栄養の点滴や水分も与えず、酸素マスクもせずに、咽喉に痰が絡んでも看護師を呼ばず、咽喉に痰が詰まって亡くなったと主張している。カルテには、まだ死ぬ状態ではなかったことが書かれている。
医師記録の2007年8月20日には「family (son)は延命につながる治療を全て拒否。現在Div.で維持しているのも好ましく思っていないようである」と書かれている。長男(息子son)は母親の延命につながる治療を全て拒否し、点滴(Div.: Drip Infusion into Vein)で生命維持していることさえ好ましくないと考えているとある。医師記録は上記に続けて「本日にてDiv.終了し、明日からED(注:経腸栄養療法Elementary Diet)を再開する」と記す。長男の要望で点滴を終了したことになる。
長男は8月27日にも医師の勧める高度医療を拒否した。医師記録には「……変更、増強したいところであるが、familyはやんわりとであるが、高度医療は拒否されている」とある。
9月3日には母親の呼吸状態が悪化したが、長男は酸素吸入(O2 inhalation)も断った。9月3日の医師記録には「familyの要望どおり、O2 inhalationも行わない→当直時間帯のみ許可」とある。夜間のみ酸素吸入を行ったため、日中に症状が悪化し、夜間に持ち直すという状態が繰り返された。
さらに長男が入院中の母親の経管栄養の流入速度(注入速度)を速めたことも判明している。原告の指摘に対し、兄の代理人は「長男が母親の点滴を早めたなどの主張をしておりますが、それは点滴ではなく流動食であり、何ら問題ないものです」と回答し、経管栄養(流動食)の流入速度を速めたことを認めた(平成20年7月4日付「ご連絡」3頁)。
経管栄養は医療行為であり、ミスをすれば患者を死に至らしめる危険のあるものである。医者が定めた流入速度を「時間がかかりすぎる」という理由で勝手に速めて良いものではない。国立がんセンターはウェブサイトで経管栄養について「栄養剤の注入方法」と題して「1日の必要量・経管栄養剤の種類は患者の個別性があるため、患者氏名・栄養剤の種類・量・流入速度を医師の指示表と確認して準備します。」と記載している。流入速度が速過ぎて下痢など患者の症状を悪化させた例は多い。
現実に長男が経管栄養の流入速度を速めた後で母親は嘔吐している。「経過記録」の8月15日には「Bedに戻り臥位になった時嘔吐してしまう」と記録されている。その夜の16日1時過ぎにも嘔吐した。医師が診察し、医師記録には「原因判明するまでintubation feeding(注:経管食事法)は中止し、Div.(注:点滴)管理とする」と記された。その後、母親は点滴管理とされて小康状態になったものの、8月20日には前述のとおり、生命維持を長男が好ましく思っていないと記され、点滴を終了した。病歴要約には「ご家族は一切の延命的治療を望まれなかったため、DiV (注:点滴)とエンチベース(注:皮膚のかぶれ等にぬるボデイクリーム)のみとした」と記載されている。
これらの治療拒否は被告である原告の兄の独断で実施し、ことさら苦しめてまだ生きられる母の命を縮めて絶ったとしている。兄は経管栄養の流入速度も速めた。これは患者の健康に深刻な影響を及ぼしうるものである。酸素吸入によって取り除ける苦しみを取り除こうとはしなかった。高齢者虐待ともいえる事件である。
ブログでは以下のように紹介されている。「兄は、「母親の介護は地獄だ、年に不足はない。親が先に死ぬのはよい」と発言しており、また、死の前日には葬祭会社と契約をしていたことから、不作為の殺人とすら思える」(「埼玉の女性が裁判で問う「命」」アドバンテッジ被害牛角株主のブログ2014年10月18日)
病院(東京都中野区)から患者の長女である原告に対して、延命治療についての説明や、中止するにあたっての説明がなかったとしている。
同じ病院では都内の女性(80)が高濃度の検査薬を誤って投与され、消化管が壊死(えし)して緊急手術を受けていたことが明らかになっている。女性は別の病院に入院中で重症という(「高濃度の検査薬誤投与で80歳女性が重症」産経新聞2011年10月13日)。
病院によると、女性は2011年9月22日、胃がんの内視鏡検査を受けた際、男性内科医(34)から原液を水道水で薄めた約23%の高濃度の酢酸を検査薬として体内に散布された。本来は1・5〜3%の濃度が適切だったという。
勇気ある告発を黙らせることはできない。事件の全容解明や被害者救済の視点からも徹底した調査が欠かせない。きちんと明らかにしなければ同じことが繰り返される。原告は口頭弁論の傍聴を呼び掛けている。TwitterやFacebookなど思い思いのやり方で裁判の拡散を訴えている。

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