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東急リバブル東急不動産トラブル

林田力「不動産トラブルと消費者契約法」JANJAN 2007年1月23日

ここに、東急リバブル株式会社及び東急不動産株式会社の新築マンション「騙し売り」の実態を報告する。東急不動産が販売し、東急リバブルが販売を代理した新築マンション(東京都江東区)での販売トラブルである。

 東急不動産(販売代理:東急リバブル)は新築マンション「アルス」(東京都江東区)を販売する際、隣地がアルス竣工後すぐに建て替えられること及び作業所で騒音が発生することを認識していたにもかかわらず説明しなかった。

 これに対し、引渡し後に隣地所有者から真相を知った購入者は、消費者契約法第4条第2項に基づき、売買契約を取り消した。しかし東急不動産が売買代金返還に応じなかったため、売買代金返還を求めて東京地方裁判所に提訴した(2005年2月18日、平成17年(ワ)第3018号)。

 東京地裁の平成18年8月30日の判決では購入者が勝訴し、東急不動産に売買代金全額2870万円の返還を命じた。その後、控訴審・東京高等裁判所において、購入者がアルスの住戸を明け渡し、東急不動産が和解金3000万円を支払うことを骨子とする和解が成立した(2006年12月21日)。

 和解内容は一審判決に沿ったものであり、本件和解において原告が訴えを取り下げなかったことは一審判決の正当性を示すものである。

 従来の不動産トラブルにおいては、雀の涙程度の損害賠償か支払いで終わりがちで、契約の解除や取消が認められる例は少なかった。本件一審判決及び和解は消費者契約法により、不動産売買契約が取り消された点で、同種被害に苦しむ「だまし売り」の被害者にとって画期的な解決方法と言える。

 浅沼良一・元二級建築士による耐震偽装マンションの購入者は消費者契約法に基づき、契約の取消しと売買代金返還を求めて、2006年12月25日に札幌地裁に提訴をした。本件・東急リバブル/東急不動産の「騙し売り」事例の解決法は、不動産売買トラブルの解決の指針になると思われる。

林田力「東急不動産の実質敗訴で和解」OhmyNews 2007年3月2日

東急不動産消費者契約法違反訴訟(平成18年(ネ)第4558号)で昨年12月、東京高裁において訴訟上の和解が成立した。東急不動産の実質敗訴である。

 本裁判は、東急不動産が不利益事実(隣地作業所の建て替え、騒音の発生)を告知せずに新築マンション「アルス」(東京都江東区)を販売したとして、消費者契約法第4条第2項に基づき、売買契約を取り消したアルス購入者が売買代金の返還を求めて提訴したものである(平成17年(ワ)第3018号)。一審の東京地裁は昨年8月、不利益事実不告知を認定し、東急不動産に売買代金全額および遅延損害金の支払いを命じた。

 これに対し、東急不動産は翌月、東京高裁へ控訴。控訴趣意書を提出したが、その内容は一審判決が明確に否定した主張の焼き直しに過ぎなかった。ちなみに控訴趣意書は刑事事件の用語で、民事事件では控訴理由書という。東急不動産があえて控訴趣意書という文書名にした理由は不明である。

 一方、原告側はアルスの構造設計者であるアトラス設計(東京都)の渡辺朋幸代表が一級建築士資格を持たない無資格者であるとの新事実を入手し、付帯控訴も準備した。和解の成立はこうした中でのできごとで、東京高裁では一度も口頭弁論が開かれることはなかった。東急不動産は自社の正当性を主張するために控訴したはずであるが、その主張を一度も開陳することなく、和解に応じたのだった。

 和解内容は、東急不動産が敗訴した一審判決に沿うものである。一審判決は原告のアルス明け渡しと引き換えに、東急不動産に売買代金全額2870万円および遅延損害金の支払いを命じたが、本件和解では東急不動産が和解金3000万円を原告に支払い、原告が今年6月末日までにアルスを明け渡すことが骨子となっている。

和解に応じた東急不動産の卑劣

コメントありがとう御座います。御指摘の通り、東急不動産はズルイと思います。
東急不動産が和解に応じた理由は御指摘の通り、敗訴判決確定の回避にあると考えます。一般論として相手方が早期和解に応じることは当事者側にとっては好ましいものとされますが、本件では以下の理由により控訴人側には早期和解のメリットはありませんでした。
第一に東急不動産は一審において既に十分すぎるほど時間稼ぎを行っており、控訴審で早期和解したとしても当事者にとっては遅すぎます。
第二に東急不動産が控訴した時点で原告は被控訴人として控訴手続きに巻き込まれることになり、一審における東急不動産の応訴態度を踏まえれば、仮に控訴審で和解が成立したとしても半年一年経過した後になると覚悟を決めておりました。それを見込んで諸々の計画を立てており、早期の和解は迷惑以外の何者でもありません。
無論、単に敗訴判決確定を避け、和解目当てで控訴する当事者がいることは存じております。この場合は代理人間で和解含みの控訴であることを、それとなく相手に伝わるよう根回ししておくことが通常です。訴訟上の和解の形式を採るとしても法廷外で水面下の協議がなされ、裁判所の和解室では形式的な顔合わせだけとなります。 ところが本件では控訴状が送達されてから代理人間での水面下の接触は一切になされませんでした。それどころか東急不動産は民事訴訟では使われない控訴趣意書なる文書を送りつけてきました。単に間違えただけなのか、無知なのか、それとも相手を馬鹿にするためにあえて控訴趣意書というタイトルを用いたのかは不明です。
しかし控訴提起から何らの水面下での接触もなされない状態で送り付けられれば相手方としては臨戦態勢で望まざるを得ません。仮に悪意のないミスだったと善意に解釈したとしても東急不動産がミスについて何らフォローしようとしなかったことは誠意のなさを示しています。
このような状況から被控訴人側は早期和解はないと判断しました。ところが期日に高裁裁判官から和解勧試されると、東急不動産は一転して和解に応じる姿勢を示しました。従って東急不動産がズルイことには完全に同意します。敗訴判決を避けるために和解するという姿勢もズルイですが、加えて自らは和解を成立させるための努力を何ら行わず、裁判官から和解勧試されると乗るという姿勢も卑劣です。
しかし被控訴人は東急不動産の不誠実さを承知の上で和解に応じました。裁判は法律上の紛争を解決するもので、それ以上でも以下でもないためです。原告は売買代金2870万円の返還を請求し、東急不動産が和解金3000万円の支払いを表明した以上、法律上の紛争は解決してしまうためです。
勿論、被控訴人は一生に一度の買い物で屑物件を騙し売りした東急リバブル東急不動産に恨みがあります。また、東急リバブル東急不動産は宅地建物取引業法違反(第47条、重要事項不告知)で免許取消しに値すると判断しています。しかし、それを根拠に和解を拒むことは筋が通りません。
世の中には裁判に法律上の紛争を解決する以上の意味をもたせようとする人が存在することは存じております。実際、東急不動産は一審において原告本人の当事者尋問を一方的に延期させ、尋問では原告個人情報(年収、家族構成等)を暴露する等、裁判制度を原告への嫌がらせに悪用しました。だからといって東急不動産と同じやり方でゲームを行うことは、東急不動産に賛同すること、日本社会のモラルを崩壊させた堕落の一部になることを意味します。和解成立は裁判官の努力と原告の寛容に負うものであって、東急不動産は最後の最後まで卑劣でした。

林田力「アトラス・渡辺代表 東急物件の構造設計」JANJAN 2007年3月20日

有限会社アトラス設計・渡辺朋幸代表は東急不動産のマンション(江東区東陽一丁目)の構造設計者として記載されていた。建築主の東急不動産が確認検査機関のイーホームズ(当時)に提出した書類に記載されている。具体的には建築工事施工結果報告書の構造設計者欄及び工事監理報告書の工事監理組織・構造担当の欄にアトラス設計・渡辺朋幸代表の名前が記されている。

 渡辺朋幸代表は姉歯秀次元建築士の耐震強度偽装を見破った人物であるが、藤田東吾氏の告発で一級建築士資格を持たない無資格者であることが明らかにされた。東急不動産物件の上記書類は、その渡辺朋幸氏が管理建築士を置いて一級建築士事務所を経営していただけでなく、無資格でありながら設計業務に関係していたことを示す資料である。

 問題の東急不動産物件では元請け設計(意匠設計)は株式会社SHOW建築設計事務所(株式会社昇建築設計事務所)が担当したが、構造設計はアトラス設計が請けていた。アトラス設計には小林昭代を管理一級建築士として建築士事務所登録しているが、問題の東急不動産物件では小林建築士ではなく、無資格者の渡辺代表の名前が書かれている点がポイントである。

 本件について物件居住者が江東区(物件所在地の特定行政庁で、イーホームズが検査機関の指定を取り消されたために承継した)に問い合わせしたところ、江東区都市整備部建築課構造係の稲岡氏から以下の回答がなされた。

×××××


 確認申請図書・建築工事施工結果報告書等を調査いたしましたところ、工事着手に先立ち提出された確認申請書に添付されている構造設計書の表紙には、設計者である(株)SHOW建築設計事務所の竹内久氏の記名・捺印がありました。しかし構造設計概要書には本来記載されるべき構造設計者の氏名及び所属会社の記載はありませんでした。

 その後、検査時に提出された建築工事施工結果報告書の構造設計者名には、アトラス設計事務所の渡辺明幸氏の記載がありましたが、本来は建築確認申請書に添付される構造設計概要書に記載されている氏名及び所属会社を記入することとされているものであり、記載について疑問の残るところです。

 不明確な点が多いため、この件について、設計者である(株)SHOW建築設計事務所の代表である金井照彦氏に電話にて事情を問い合わせたところ、構造設計者は確認申請書に記名・捺印している竹内久氏であるとの回答を得ました。
以上のことから判断しますと、構造設計概要書及び建築工事施工結果報告書の構造設計者名には(株)SHOW建築設計事務所の竹内久氏の記名・捺印がなされるべきであったのではないかと考えられます。

×××××


 江東区回答は構造設計者とされるべきは竹内久・一級建築士とする。竹内久・一級建築士を構造設計者とすべきとの回答は、逆に言えば渡辺朋幸代表を構造設計者とすることに問題があることを意味する。

 加えて江東区回答が正しいとするならば誤った内容で建築確認検査がなされたことになる。しかし虚偽記載の文書を訂正もせず放置したままでいいのかという点については、江東区回答は何ら言及していない。誤りを是正しようともしない点からは、渡辺朋幸代表が構造設計者であることに問題があるため、記載に誤りがあることにして取り繕ったとの推測が成り立つ。この場合、渡辺代表を構造設計者とすることは記載誤りを認める以上に問題があることを意味する。

※本記事は日本インターネット新聞社編集部長賞に選ばれた。「編集便り・編集部長賞3月分」にて「アトラス・渡辺代表 東急物件の構造設計(3月20日、林田力記者)」は「「トカゲの尻尾きり」におわってしまうかのような耐震偽装問題を、しつこく追い続けている名記事。」と紹介された。

林田力「新築マンション値引き事例」JANJAN 2007年3月25日

新築マンションの値引き事例を紹介する。新築マンションの値引きは横行しているとされるが、明らかにされることが少なく、確認できるケースは乏しい。

 不動産業者に面と向かって問い合わせても、「ウチは値引きしません」と一蹴されることが殆どである。しかし、これから紹介する事例では売主の東急不動産株式会社(東京都渋谷区、植木正威社長)自身が値引きを明らかにしており、マンション販売の実態をつかむ上で貴重である。

 問題の新築マンション「アルス」は東京都江東区にある。他の多くの東急不動産物件と同じく、東急リバブル株式会社(東京都渋谷区、袖山靖雄社長)が販売を代理し、値引きの提示を含めた購入者との折衝は全て東急リバブルが実施した。値引きされた住戸301号室は60平米弱の2LDKである。価格は3060万円であったが、190万円値引きされ、2870万円で販売された。

 値引きが持ちかけられた2003年6月下旬は、アルスの販売最終期が同年4月26日に終了して先着順で販売されてから2ヶ月経過しており、3ヵ月後の9月下旬には竣工し、引き渡される時期であった。値引きの話は購入者ではなく、東急リバブルの販売担当者から持ちかけたという。販売担当者は「期末までに売り上げを立てないので6月までに契約すれば値引きします」と説明した。値引きに際し、東急リバブルは購入者に口外無用と念を押した。そのため、本件値引き事例も他で行われているであろう値引き事例と同様、闇に埋もれる筈であった。

 値引きの実情を明らかにしたのは売主の東急不動産であった。東急不動産消費者契約法違反訴訟(平成17年(ワ)第3018号)において東急不動産が証拠(乙第13号証)として提出された。文書の右肩に「乙第13号証」とあるのは消費者契約法違反訴訟における被告(東急不動産)が提出した13番目の証拠であることを示す。ヘッダに「東急リバブル総務課」とあるのは東急リバブル総務課からファックス送信されたことを意味する。

 宅地建物取引業者は売買契約締結前に重要事項の説明が義務付けられている(宅地建物取引業法第35条)。購入者は重要事項の説明を受けた上で問題ないと判断して初めて売買契約を締結する。しかし本件アルス301号室では、東急リバブルは重要事項説明の前に値引きを条件に購入を確約させている。アルス301号室の売買契約は宅地建物取引業法上問題がある。少なくとも大手業者の名に恥じぬ模範的な取引とは言えない。その事実を示す文書が東急不動産側から提出されたことも泥沼の裁判の中とはいえ奇妙である。現実は小説より奇であるが、小説より上等とは限らないことの一例である。


※ 東急不動産消費者契約法違反訴訟については下記記事を参照のこと
林田力「不動産トラブルと消費者契約法」JANJAN 2007年1月23日

林田力「不動産広告にだまされないように」オーマイニュース(ニュースのたね)2007年3月19日

大手不動産販売業者・東急リバブル株式会社(東京都渋谷区、袖山靖雄社長)錦糸町営業所が不動産仲介で虚偽内容の広告を作成・配布した。

 問題の広告対象は、東京都江東区東陽1丁目にあるマンションの1室の売却を仲介するものである。広告の虚偽内容は以下の通りである。

 第1に1LDK+DENの間取りを広告では、2LDKと表示し、広く見せようとした。

 第2に用途地域は、第一種住宅地域と商業地域からなるにも関わらず、広告では第一種住宅地域とのみ表示した。

 第3に駐車場料金は、月額30000〜32000円であるにもかかわらず、広告では月額わずか600円とする。

 不動産広告では、実際のものよりも優良又は有利であると、誤認されるおそれのある表示をすることは不当表示として禁止されている。現在または将来の環境などについて、実際のものより著しく優良、有利であると一般消費者に誤認させるような表示は不当表示にあたる。

 東急リバブルの虚偽広告に対しては、公正取引委員会も動き、東急リバブルが加盟する社団法人首都圏不動産公正取引協議会において改善措置を講じさせた(独占禁止法45条3項の規定に基づく公正取引委員会通知書、公取通第497号)。

 東急リバブルは、上記マンションの新築分譲時の販売代理(売主:東急不動産株式会社)を務めていた。新築分譲時のマンション販売資料には、間取りも用途地域も正しく記載してあるから、東急リバブルは、正確な情報を把握しているはずである。

それにもかかわらず売却仲介時には、虚偽の広告を作成・配布したところに、東急リバブルの悪質さが際立っている。

林田力「東急リバブル、契約優先主義でトラブル」オーマイニュース2007年5月21日

「重要事項説明」を軽視する慣習のツケ

「宅地建物取引業法」という法律がある。宅地及び建物の取引の公正を確保することで、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的(第1条)とする法律だ。

 不動産購入者を守るための法律だが、この法律があるにも関わらず、不動産売買で「業者に騙された」という例は多い。

 その一因として、必ずしも不動産業者が、「宅地建物取引業法」の趣旨を遵守して取引をしている訳ではない点が挙げられる。

 これから紹介する不動産取引事例は、大手業者が扱った取引であり、「宅地建物取引業法」の趣旨からは疑問符が付く。

 それは東急不動産株式会社(東京都渋谷区、植木正威社長)の新築マンション「アルス東陽町301号室」の売買である。このマンションは、東急不動産の子会社東急リバブル株式会社(東京都渋谷区、袖山靖雄社長)が販売を代理し、記者(=林田)が購入した。

 この売買で、記者は2003年6月26日に重要事項説明を受け、同じ日に売買契約を締結している。

 2003年6月26日に重要事項説明を記者が受けたことは、同日付の受領書に「重要事項の説明を受けました」と記載されていることから分かる。また同日、売買契約を締結したことは、同じ受領書に「同法第37条に基づく売買契約時の交付図書の受領も兼ねます」と記載されていることから分かる。

 「宅地建物取引業法」は第35条で、契約締結前に宅地建物取引主任者に重要事項説明を義務付けている。

  重要事項説明は、物件と取引の内容を確認し、間違えのない契約をするためのものである。重要事項説明を受けた購入予定者は、その内容を隅々まで理解した上で、契約を締結するか否かを判断することが期待されている。

 ところが東急リバブルの受領書の書式では、重要事項説明を受けたことの受領書と、売買契約時の交付図書の受領書が兼ねられている。ここからは東急リバブルが重要事項説明直後に契約締結を行っていることがうかがえる。

 東急リバブルが、迷惑隣人について説明せずに、中古住宅を仲介したとして説明義務違反が認定された事件においても、契約締結直前に重要事項説明を行っている(大阪高判平成16年=2004年=12月2日金融・商事判例1223号21頁)。

 契約締結直前に、重要事項説明を行う東急リバブルのやり方は、購入予定者にとっては熟慮する時間なしで契約を迫られるため、好ましいとは言えない。

 それを自覚してか、「アルス東陽町301号室」の売買契約では、契約書の日付が2003年6月30日になっている。301号室購入者(=林田)は「契約締結は6月26日に行われたが、東急リバブル販売担当者の指示で契約書に日付を6月30日と書いた」と記憶している。受領書の日付が6月26日であることが、それを裏付ける。

 東急リバブルの姿勢は、消費者の購入判断に資する情報を提供する手段としての重要事項説明を軽視している。「宅地建物取引業法」で規制されているから行っているに過ぎない。積極的に「宅地建物取引業法」の目的とする購入者の利益保護を図ろうとするものではないのだ。

 アルス東陽町301号室は、購入後に不利益事実(隣地が建て替えられて日照・眺望が妨げられること、作業所で騒音があること)が明らかになり、紛争になった。結果は、東急不動産の実質敗訴で、2006年12月に和解が成立した。しかし、2007年3月末までに行わなければならない和解条項の履行をめぐって、トラブルが生じている。

 このような紛争が起こらないようにするために「宅地建物取引業法」があるべきだが、残念ながら法の目的通りにはなっていないのが現実である。

コメント

コメントありがとうございます。私の経験では、新築マンションでは申込みをしていない検討者に対しても、モデルルーム訪問時に重要事項の冊子コピーを配布してくれた業者もありました。契約直前に読み上げられただけで、理解できる消費者は少ないと思います。
業者にとっても、顧客が問題点も含めて納得した上で購入された方が安心できます。無論、最初から問題物件を騙し売りしようと企んでいる悪徳業者は論外です。

東急不動産(販売代理:東急リバブル)が販売したアルス東陽町301号室の契約関連日時を以下の通り整理します。
・重要事項説明が行われた日:2003年6月26日
・売買契約が実際に締結された日:2003年6月26日
・売買契約書上の日付:2003年6月30日
ここから以下の二点を問題視しています。
・重要事項説明の直後に売買契約締結されていること
・実際の契約締結日と契約書上の契約締結日が異なっていること
そして実際は重要事項説明直後に売買契約を締結したにもかかわらず、契約書上の契約締結日を実際の契約締結日よりも後にすることで、重要事項説明から売買契約締結まで時間を空けたような外観を作出していることを問題視しています。
上記の証拠となるのが受領書になります。これは2003年6月26日に重要事項説明を受け、重要事項説明書を受領したことを示すものですが、「同法第37条に基づく売買契約時の交付図書の受領も兼ねます」とあるため、宅建業法37条の契約成立後遅滞なく交付すべき書面も6月26日に交付されたことを示します。これは6月26日に契約も締結されたことの根拠となります。
「売買契約時に引き渡す書類の一部または全部を重要事項説明時に先渡ししておきます」と解釈すると、契約をまだ締結していない重要事項説明を受けただけの人物に契約書類を渡したことになり、取引の実情にそぐわなくなります。「申し込み証拠金を払って重要事項説明を受けたい上は何が何でもキャンセルは認めない、絶対に契約してもらう」というのでは正真正銘の悪徳業者です。
「同法第37条に基づく売買契約時の交付図書の受領も兼ねます」との文言は、受領書からそのまま引用したものです。受領書は東急リバブルが印書したものに購入者が記名捺印する形式でした。書面ではなく図書となっている点は変ですが、東急リバブルのいい加減さを示すものと言えます。
アルス東陽町301号室は消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約が取り消され、売買代金返還を求めて裁判になりました。訴訟では本稿で指摘した重要事項説明と売買契約の問題も指摘されました。東京地裁平成18年8月30日判決では購入者の主張通り、東急不動産では売買代金全額返還が命じられましたが、宅建法の趣旨から疑問符のつく売買契約の実態も加味されたと考えています。

林田力「東急不動産、「和解成立」後も新たなトラブル」オーマイニュース2007年7月9日

手続きめぐり、和解金支払いが停滞
東急不動産株式会社(東京都渋谷区、植木正威社長)が販売した新築マンションを巡るトラブルに関し、訴訟上の和解が成立したにも関わらず、和解条項の履行で紛争が再燃している。一旦、和解まで漕ぎつけたにも関わらず、紛争が再燃することは珍しいことだ。

 元々の紛争は、新築マンション購入者、すなわち記者(=林田)が、売主の東急不動産株式会社に売買代金の返還を請求した裁判である。

 東急不動産は、康和地所株式会社(東京都千代田区、夏目康広社長)から転売された土地(江東区東陽1丁目)にマンション「アルス」を建設・販売した。

 東急不動産は、マンション「アルス」建設時に康和地所株式会社の従業員を通じて、以下の説明を受けた。

 「アルス」に隣接する地所有者が、「アルス」竣工後に、隣接地の建物を建て替えること、それは作業所なので騒音があること──の2点である。

 康和地所は東急不動産に対し、「アルス」購入を検討する人たちに、「隣を建替え工事をする、騒音があることを、伝えて欲しい」と伝え、東急不動産側は了解した。

 にもかかわらず、東急不動産(販売代理:東急リバブル)側は、「アルス」購入を検討する客たちに「工事、騒音」のことをまったく説明していなかった。

 「アルス」301号室の購入者(=記者)は、部屋の引渡し後に、これら事実を知った。「工事、騒音」の説明を販売した東急リバブル側から、まったく受けていなかった。

 301号室の購入者は、「消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)」に基づき、「アルス」売買契約を取り消した上で、売買代金2870万円の返還を求め、東京地方裁判所に提訴した。

 東京地方裁判所民事第7部(民事第7部、山崎勉裁判官)は、2006年8月、「消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)」による不動産売買契約取消しを認定して、売買代金全額返還を命じる、画期的な判決を言い渡した(東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)第3018号、売買代金返還請求事件)。

 「消費者契約法」に基づく契約取消しが認められた事例はそれまでもあった。しかし、ほとんどの消費者にとって一番大きな買い物である、不動産売買契約の取消しが認められたのは、この判決が最初である。判決内容は、

 「被告(=東急不動産)は、本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、原告に対し、本件マンションの完成後すぐに、北側隣地に3階建て建物が建築され、その結果、本件建物の洋室の採光が奪われ、その窓からの眺望・通風等も失われるといった住環境が悪化するという、原告に不利益となる事実ないし不利益を生じさせるおそれがある事実を、故意に告げなかったものというべきである」

 控訴審の東京高等裁判所においては、一審判決に沿った内容の和解が成立した。

 すなわち東急不動産が、2007年3月までに金3000万円を、301号室購入者に支払い、一方、購入者は301号室を、2007年6月末に明け渡すことを骨子とする和解だった。

 ところが、東急不動産と301号室購入者との間にトラブルが再発した。

 和解金の支払いは、当事者(東急不動産と301号室購入者)間の協議で、2007年3月28日午前11時に、三井住友銀行深川支店において、現金で支払いが行われることになっていた。

 ところが、その当日、東急不動産は3000万円の支払いを拒否したのだ。

 結果、「アルス」301号室購入者と東急不動産の主張は全面的に対立することになった。

 論点は、大きく3つある。これらの論点は相互に関係している。

 第1に、「アルス301号室所有権移転登記の登記原因」である。東急不動産側は、登記原因を「和解」とし、登記原因の日付を3000万円支払日とし、上記内容を記載した登記原因証明情報を作成して、共同申請をすることを求めた。

 しかし、和解調書には「平成18年12月21日付『訴訟上の和解』を原因とする」と明記してある。そこで購入者側は、和解調書記載のとおりとすることを主張した。

 これに対し、東急不動産側は「東京法務局に確認したところ、訴訟上の和解では登記できないと言われた」と反論した。ところが、購入者側が、東京法務局に確認したところ、東急不動産側の説明は虚偽であることが判明した。

 第2に、「アルス301号室所有権移転登記手続き」である。

 東急不動産側は、東急不動産の用意した司法書士への委任状を提出することを要求した。これにより、東急不動産と被控訴人(=購入者=林田)の共同申請で移転登記すると主張した。確かに、第1で東急不動産側が主張したように「登記原因を和解」とするためには、共同申請による必要がある。

 ところで本件は、確定判決と同一の効力を持つ和解調書に規定されているため、被控訴人が東急不動産から3000万円を受領した時点で、登記をする旨の意思表示が擬制される(民法第414条2項但し書き、民事執行法第174条)。

 これにより、被控訴人は「登記手続きする」という義務を果たしたことになり、登記申請手続きをすることは不要である。その結果、東急不動産側は登記を単独申請できる(不動産登記法第63条)。

 東急不動産側が、単独で登記申請できる以上、「アルス301号室」の購入者が、登記義務者となって登記申請する必要はない。

 従って東急不動産側のが司法書士に対して、301号室購入者が「印鑑証明」を用意して、実印を押した委任状を提出する必要性はない。

 これに対し、東急不動産側は、「被控訴人が登記手続きをする」との和解条項は、アルス購入者が、実際に登記申請を行う義務を定めたものであると解釈し、反論する。すなわち、東急不動産側は、自分たちの用意した司法書士に、委任状を提出しない以上、被控訴人(=301号室購入者)は義務を果たしていないので3000万円を支払えないと言う。

 「アルス301号室」購入者の再反論は以下の通りである。

 和解条項には、アルス購入者が申請人となって登記申請をしなければならないという明示的な記述はない。存在しない以上、一般的な解釈に従い、登記意思を擬制したに過ぎないと解釈される。

 和解調書で意思表示が擬制される以上、東急不動産側が3000万円を払えば、アルス購入者は所有権移転登記をする意思表示がなされ、「被控訴人が登記手続きをする」との義務を果たしたことになる。

 よって、東急不動産が所有権移転登記を単独申請することに何の障害もない。東急不動産側は、「アルス301号室」購入者から、委任状や印鑑証明を取得しなくても、和解調書を登記原因証明情報として提出しさえすれば良く、共同申請にするよりもストレートである。

 論点の3つ目は、「アルス301号室」所有権移転登記を単独申請する場合の手続きについて。

 第2の被控訴人(=購入者)の主張の通り、東急不動産が3000万円支払えば、被控訴人の登記する意思が擬制されるため、東急不動産は単独申請できる(不動産登記法第63条)。

 単独申請する場合、和解調書に執行文を付与する必要があり、執行文付与申請時に反対給付の3000万円支払いを証明する必要がある。

 被控訴人は、反対給付の証明は文書で行わなければならないため(民事執行法第174条第2項)、3000万円受領と引き換えに渡す受領書を、執行文付与申請時に提出すればいいと主張した。

 これに対し、東急不動産側は、証明する文書は公文書に限られるとして法務局に供託するしかないと主張した。

 これに対し、「アルス301号室」購入者は、以下のように反論した。

 東急不動産は、和解調書に執行文付与申請をしなければならないが、それが面倒ということは「アルス」購入者に、登記申請を押し付ける理由にはならない。

   3000万円を支払ったことの証明は、文書でなければならないが、公文書でなければならないという制限は存在しない(民事執行法第174条第2項)。購入者に3000万円を支払い、受領書を受け取り、それを証拠として執行文付与申請をすればよいと主張する。

 両者の溝は埋まらず、3000万円が支払われないまま、決裂した。

 今後は強制執行手続きなど「司法の場」で改めて争われることになる。

コメント

コメントありがとうございます。御指摘の通り、企業不祥事の告発記事として執筆致しました。
本件の売買代金返還請求訴訟は弁護士を訴訟代理人としていました。本件では新築マンションであり、購入者が保存登記をしているため、「所有権抹消登記はできない」というのが代理人弁護士の見解でした。そのため、和解調書では「訴訟上の和解」を登記原因とする所有権移転登記という形で定められました。
弁護士も人によって考えも千差万別であることは承知しており、その後、色々な方に相談したところ、登記の錯誤という方法があるとの見解を提示された方もおりました。とはいえ、和解条項は「訴訟上の和解」を登記原因とする所有権移転登記という形で定められたため、和解条項の履行において所有権抹消登記は問題になりませんでした。

林田力「マンション販売トラブルで「お詫び」 東急リバブル・東急不動産」JANJAN 2007年10月4日

東急リバブル株式会社(袖山靖雄社長)及び東急不動産株式会社(植木正威社長)が自社ウェブサイト上に「お詫び」を掲載した。掲載内容は以下の通りである。

◇ ◇ ◇

 弊社が平成15年に江東区内で販売代理した新築マンションにつきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。
本件を踏まえまして、不動産取引における紛争の未然防止を再徹底し、お客様へのより一層の質の高いサービスを提供していけるよう、努力して行く所存でございます。
http://www.livable.co.jp/

お詫び
 弊社が平成15年に江東区内で販売致しましたマンションにおきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。本件を踏まえまして社内体制を整え、再発防止及びお客様へのより一層のサービス提供を行なってまいる所存でございます。
http://www.tokyu-land.co.jp/

◇ ◇ ◇

 東急不動産(販売代理:東急リバブル)が新築マンション「アルス」について、隣地がアルス竣工後すぐに建て替えられること及び作業所で騒音が発生することを隠して販売するという騙し売りをしたため、消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約が取り消された問題である。購入者が売買契約を取り消したにもかかわらず、東急側が売買代金の返還を拒否したため訴訟となり、東京地裁平成18年8月30日判決は東急不動産に売買代金全額2870万円の返還を命じた(平成17年(ワ)第3018号)。

 この訴訟については記事「不動産トラブルと消費者契約法」参照のこと。

 不動産の購入は一生に一度あるかないかの買い物といわれる。その一生に一度あるかないかの買い物において不利益事実を故意に説明せず、問題物件を購入してしまった被害者の損害に対し、「ご迷惑をおかけした」とは軽過ぎる文言である。騙し売りが発覚したのは2004年8月であったが、東急リバブル・東急不動産間でのたらい回し、担当者の頻繁な交代、果てはアルス建設に全く関係のない無責任な人物を担当者に名乗らせるなど、東急リバブル・東急不動産は不誠実な対応を繰り返し、話し合いによる任意的解決を不可能にする結果となった。

 2005年2月の提訴後も東急不動産は三名いる訴訟代理人のうちの一人の個人的な都合により当日になって原告本人尋問を延期させるなど、時間稼ぎに終始した。東京高裁で訴訟上の和解が成立したが、東急不動産が和解調書の金銭支払い義務を履行したのは和解調書で定められた2007年3月から3ヶ月遅れた同年6月28日であった。マンション販売時の不利益事実不告知のみならず、その後の不誠実な対応が「迷惑」を増大させたことについて東急リバブル・東急不動産は何らの反省も見られない。

 しかも東急リバブル・東急不動産とも被害者の損害回復については言及せず、紛争の未然防止・再発防止ともっともらしく謳いあげているが、具体的な内容が記載されていないため、論評には値しない。

 注目すべきはウェブサイトにおける上記文章の掲載位置である。東急リバブル・東急不動産とも会社からの発表内容を掲載するニュースリリース欄を設けているが、両者とも上記文章を別枠に表示させている。ニュースリリースならば過去の記事もバックナンバーの形で公開されたままになるが、上記文章は削除されたら、どこにも残らないものと思われる。ほとぼりが冷めたら跡形もなく削除してしまうことが予想される。

 また、東急不動産のウェブサイトではニュースリリースをRSS配信しているが、別枠ならばRSS配信の対象にならない。騙し売りトラブルを反省材料として記録にとどめようという姿勢とは対極である。お詫び文章の出し方一つを見ても、企業の姿勢を判断できる。

Thanks for your comment.

ご指摘の通り、契約取り消しを認めた地裁判決及び判決内容に沿った高裁和解は、ともすれば契約締結を既成事実化し、「売ったら売りっぱなし」がまかり通りがちであった従来の傾向に一石を投じるものと自負しております。不動産トラブルを積極的に明らかにすることで良心的な業者を育てていきたいと考えております。

林田力「東急不動産の遅過ぎたお詫び」オーマイニュース2007年10月9日

 東急不動産株式会社(東京都渋谷区、植木正威社長)は自社ウェブサイトに以下の「お詫び」を掲載した。私は10月に入って確認した。

 「弊社が平成15年(2003年)に江東区内で販売致しましたマンションにおきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。本件を踏まえまして社内体制を整え、再発防止及びお客様へのより一層のサービス提供を行なってまいる所存でございます」

 これは東急不動産(販売代理:東急リバブル)が江東区東陽で販売したマンション「アルス」301号室を指す。

 販売時に不利益事実(アルス東陽町竣工後に隣地を建て替えること、作業所になるので騒音が発生すること)を説明しなかった。東京地裁2006年8月30日判決は東急不動産の消費者契約法第4条第2項違反(不利益事実不告知)を認定し、売買代金全額2870万円の返還を命じた(平成17年(ワ)第3018号)。そして東京高裁において一審判決に沿った内容の訴訟上の和解が成立した(参照「東急不動産の実質敗訴で和解」)。

 しかし訴訟上の和解成立後も、紛争は再燃した(参照「東急不動産、『和解成立』後も新たなトラブル」)。

 アルス301号室の所有権移転登記の方法を巡って対立したのだ。アルス301号室の売買契約が消費者契約法に基づき取り消されたため、その所有権を被害者(=記者・林田)から東急不動産に戻さなければならない。被害者側は登記原因を和解調書記載の通り「訴訟上の和解」として、和解調書に基づき東急不動産が単独申請することを主張した。

 これに対し、東急不動産は和解調書を使わず、東急不動産が用意した司法書士を使って被害者と東急不動産で共同申請することを要求した。具体的には東急不動産が用意した司法書士に被害者が実印を押した委任状を提出することを要求した。

 被害者が拒否すると、東急不動産は和解調書で定められた金銭の支払いを拒否した(2007年3月28日)。その後、東急不動産は4月2日に東京法務局に3000万円を供託した(平成19年度金第252号)。

 被害者側は2007年5月13日、東急不動産に内容証明郵便を送付し、和解調書に基づく金銭支払いを請求し、合わせてブローカーが勤務先に圧力をかけさせることの停止を要求した。これに対し、東急不動産は「回答書」(2007年5月18日付)で全面的に拒否したが、その理由が問題であった。

 東急不動産は「被害者の代理人弁護士が供託金の受け取りについて法務局と相談し、それを受けて東急不動産代理人弁護士と折衝中」であることを拒否の理由とし、被害者の弁護士が東急不動産の要求に従って供託金を受け取る方向で折衝している、と主張したのだ。

 これは完全な虚偽であった。被害者は裁判時には弁護士を訴訟代理人としていた。しかし、東急不動産が回答書を送付した当時、委任関係にはなく、東急不動産の弁護士と折衝した事実もない。

 被害者が直接弁護士に確認すれば直ぐに露見する虚偽を回答した東急不動産の真意は不明である。

 話し合いによる任意的解決を潰すことが目的であったならば、その狙いは奏効したと言える。してもいない折衝をしていると言われれば弁護士が怒るのは当然であり、弁護士間で話し合いして解決するという可能性を完全に絶つことができる。

 任意的解決の可能性が消滅したため、被害者は監督官庁である東京都都市整備局に申し出た。東京都の行政指導によって、東急不動産は態度を翻した。

 所有権移転登記は、登記原因を、和解調書に定められた「訴訟上の和解」とし、東急不動産が和解調書に基づき単独申請した。東急不動産は供託金を自ら取り戻した上で、三井住友銀行深川支店において被害者側に現金で金銭を支払った(6月28日)。

 問題マンションの販売だけでなく、和解調書の履行においても東急不動産の誤りが示されたことになる。

 冒頭で紹介したホームページの「お詫び」についても、この文脈で捉えたいが、理解できないのは2007年10月1日という掲載時期である。被害者が騙し売りを認識して東急リバブルに照会したのが2004年8月であり、大きく遅れた「お詫び」である。多くの企業不祥事では遅すぎる対応が不祥事そのものと同じくらいの非難を浴びているが、東急不動産のマンション販売トラブルにも同じことが言える。

 しかもタイミングも不明である。契約解除の意思表示を通知したのが2004年11月、消費者契約法に基づき売買契約を取り消したのが2004年12月、東急不動産を提訴したのが2005年2月、東急不動産敗訴判決が出たのは2006年8月、訴訟上の和解が成立したのは2006年12月、東急不動産が売買代金返還金を支払ったのが2007年6月と節目の時期は色々あるが、それらとは全く無関係な時期である。

 和解調書の履行が全て完了した訳でもない(所有権移転登記を巡るトラブルで中断したために、アルス301号室の明け渡しが遅れている)。被害者にとってはありがたみ味が全くない「お詫び」である。

 東急不動産から被害者に対して直接「お詫び」が示されたことは一度もなく、また、ホームページへの「お詫び」掲載について事前にも事後にも説明や連絡がなされたこともなかった。的外れな時期に東急不動産が「お詫び」を掲載した真意は不明だが、少なくとも被害者と向き合うためにした訳ではないことは確かである。

林田力「ブランズシティ守谷の建築確認に審査請求」JANJAN 2007年12月18日

 茨城県守谷市ひがし野の住民3名が2007年12月10日、同県建築審査会に対し、建築確認の取り消しを求めて審査請求を行った。建築確認の審査請求では建築基準法に関するものが多いが、本件では都市計画法違反を理由とする点で注目される。

 問題の建築確認は守谷市ひがし野に東急不動産株式会社、東急電鉄株式会社と中央商事が建築主として建設中の高層マンション「ブランズシティ守谷」(鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、地上30階地下1階建て)に対するもの。指定検査機関のハウスプラス住宅保証株式会社が2007年6月18日付で建築確認済証を交付した(第HPA-07-01599-1号)。この建築確認は耐震強度偽装事件を契機とした改正建築基準法施行前になされたので、建築基準法は旧法が適用される。

 審査請求人らはブランズシティ守谷の建設は茨城県知事から開発許可を得ておらず、都市計画法第29条第1項に違反すると主張する。建築確認は建築計画が「建築基準関係規定」に適合することを確認する制度である(建築基準法第6条第1号)。この「建築基準関係規定」は建築基準法に限らず、建築基準法施行令第9条で列挙される法律も含まれ、都市計画法の条文も入る(第12項)。都市計画法違反の状態で建築確認済証を交付しており、「建築基準関係規定」に適合していない違法性がある、とするのが審査請求人らの論理構成である。

 都市計画法は「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的」とする法律である(第1条)。無秩序な開発を規制するために、都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者に都道府県知事から開発許可を受けることを義務付けている(第29条)。開発行為とは「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」と定義されている(第4条第12項)。

 審査請求人らは、ブランズシティ守谷は都市計画法施行令第19条で定める規模以上であり、それ以外に開発許可の必要となる条件が規定されていないため、ブランズシティ守谷の建設も当然、開発許可が必要な開発行為になる、と主張する。ブランズシティ守谷の建設が開発許可を得ていないことは事実のため、開発許可を得る必要があるか否かが争点となる。

 審査請求は受理されたばかりのため、処分庁側の反論は不明だが、審査請求以前に審査請求人らが問い合わせた際の茨城県の回答書からうかがうことはできる。そこでは開発許可が必要な開発行為を「建築物等の建設を目的で行う土地の区画形質の変更」と説明する。そしてブランズシティ守谷建設地の地目は宅地であり、マンション建設に際し一定規模の盛土・切土を伴う宅地造成工事を行わないことを理由として「開発許可不要」と結論付ける。

 これに対し、審査請求人らは審査請求書に上記茨城県回答を引用した上で以下のように再反論する。そもそも都市計画法に根拠のない制限を付して開発許可不要とすること自体が違法である。加えて550戸の高層マンション建設の影響(排水、電力供給、道路、学校の収容定員)で土地の性格が大きく変容することが容易に想定できる。それらは都市計画法第33条で規定する開発許可の基準に関係する内容である。従って開発許可を行わないことは違法である、と。

 審査請求書には表れていないが、周辺住民にとってブランズシティ守谷には地目「宅地」にマンションが建てられるという形式論では納得できない背景がある。ブランズシティ守谷建設地は近隣商業地域とされ、元々、スーパーマーケットが出店される予定であった。ところが採算性から出店計画が白紙となり、東急不動産らが購入してブランズシティ守谷建設となってしまった。スーパー出店を想定して、建設地周辺のみ建築規制の緩い近隣商業地域とされていたのに、建築規制の緩さを逆手にとって高層マンションが建設されようとしている。周辺住民にとって土地の性格が大きく変容することは間違いない。
  
 近隣に大きな影響を及ぼす大規模マンションを、開発許可を得ないで建設することが許されるのか、茨城県審査会の判断が注目される。

編集部長賞受賞

本記事は日本インターネット新聞社編集部長賞に選ばれた。 「編集部長賞12月の受賞記事」 にて「近隣に大きな影響を及ぼす大規模マンションを、開発許可を得ないで建設することが許されるのか、住民は建築確認の審査請求で異議を申し立てている。全国各地には類似の事例もあると考えられ、茨城県建築審査会の判断が注目される」と紹介された。

林田力「東急リバブル、またまた虚偽広告」オーマイニュース2008年1月8日

同じ物件で同じ嘘は、さすがにまずいでしょ

 以前、「不動産広告にだまされないように」という記事を書いた。そこでは東急リバブル株式会社(袖山靖雄社長)による虚偽広告について紹介した。東急リバブルが東京都江東区東陽1丁目にあるマンション「アルス東陽町」の1室の媒介で虚偽広告を出したという内容である。

 この記事は「ニュースのたね」になった(2007年3月19日掲載)。「ニュースのたね」は「今後大ニュースとして芽吹いてほしい」という編集部の期待が込められているという。その期待とおり、大ニュースとして芽吹く可能性が出てきた。というのは、同じアルス東陽町の媒介で、再び、東急リバブルが虚偽広告を出したからである。

 今度は以前とは別の住戸(301号室)の媒介広告である。2007年末時点での同社サイト(http://www.livable.co.jp/rue/1/CU87Z017.php3)にはこうある。

間取りタイプ 2LDK
価格 3280万円(税込)
沿線・最寄駅 東京地下鉄東西線・東陽町
築年月(和暦) 平成15年9月
所在地 江東区東陽1丁目
専有面積 壁芯57.02m2
交通 東京地下鉄東西線 東陽町 駅 徒歩6分
東京地下鉄東西線 木場 駅 徒歩6分
バルコニー面積 9.83m2
建物構造 鉄筋コンクリート造
建物階数 地上8階
所在階数 3階
管理費 1万1000(円/月)
修繕積立金 5590(円/月)
その他費用 825(円/月)
管理方式 日勤
管理会社 日本ハウズィング株式会社
総戸数 27
向き 西
駐車場 空無 600(円/月)
引渡時期 即時
取引態様 仲介
備考 ○平成15年築 ○東西線「東陽町」「木場」駅徒歩6分 ○その他費用の内訳:CATV利用料525円・町会費300円

 アルス東陽町では駐車場料金が月額3万〜3万2000円である。管理組合の収支予算案を見ても、その料金を前提にしている。にもかかわらず、その広告には月額わずか600円とある。

 これは前掲記事で紹介した虚偽広告と同内容である。即ち東急リバブルは同じ虚偽を繰り返していることになる。

 前掲記事で報じたとおり、前回の虚偽広告に対して、公正取引委員会は東急リバブルが加盟する社団法人首都圏不動産公正取引協議会に通じて、改善措置を講じさせた(独占禁止法45条3項の規定に基づく公正取引委員会通知書、公取通第497号)。しかし、東急リバブルがアルス東陽町301号室の媒介でも虚偽広告を繰り返したことにより、上記「改善措置」の実効性のなさが明白になった。

 前回の虚偽広告は東急リバブル錦糸町営業所が作成したものだ。今回は東陽町営業所で営業所が異なっている。異なる営業所だからといって、同じ虚偽広告を出すことが信じ難い。

 前回の虚偽広告についての反省が、営業所間で共有されていないだけでなく、全社で虚偽広告のテクニックが共有されている可能性すらうかがわせる。この種の問題が起きると担当者の問題としてトカゲの尻尾切りとなりがちだが、東急リバブルの虚偽広告については一担当者の問題とは言えないことが明らかである。

【参照記事・URL】
「不動産広告にだまされないように」(2007年3月19日掲載)
東急リバブルの虚偽広告が記載されたWebページ
http://www.livable.co.jp/rue/1/CU87Z017.php3

林田力「東急リバブル、間取り図でも虚偽広告」オーマイニュース2008年1月8日

駐車場料金だけではなかった──東京・江東区のアルス東陽町

 東急リバブル株式会社(東京都渋谷区、袖山靖雄社長)が仲介物件の媒介広告で改めて虚偽内容を記載した。

 東急リバブル東陽町営業所が専属専任で媒介するアルス東陽町301号室(東京都江東区東陽1丁目)の虚偽広告である。2008年1月4日更新の広告ページには間取り図の窓の数と駐車場料金の2点の虚偽がある。〔広告ページ http://www.livable.co.jp/rue/1/CU87Z017.php3

 第1に間取り図である。東急リバブルは2007年12月28日までにアルス東陽町301号室の広告ウェブページを公表したが、2008年1月4日、新たに外観写真、間取り図、地図、キッチン・リビングの室内写真を追加した。

 この間取り図の窓の数に虚偽がある。

 間取り図では6畳の洋室の左側(北側)の壁に窓が2つ設置されている。片開きの外開き窓が一つと羽目殺し窓(FIX)が一つである。しかし、実際は羽目殺し窓の上側(東側)にもう一つ、羽目殺し窓が設置されている。

 洋室6畳に窓が3つあることは、新築分譲時の図面集にも記載されている。東急リバブルはアルス東陽町(売主:東急不動産)の新築分譲時の販売代理をしており、知らない筈のない事実である。

 ちなみに媒介広告でも、新築分譲時の図面集でも、このマンションは方位を、「左を北」にして描いている。通常は「上を北」、「下を南」に書くものである。

 これは301号室のベランダが西にあるためと推測される。住宅では日当たりの良い南向きが好まれ、ベランダが下に来る。だから、西向きのベランダが下に来るような方位の間取り図にしたと考えられる。このような消費者に不親切で姑息なところは、新築分譲時も、仲介時も一貫している。

 東急リバブルが仲介広告で窓を隠した理由については2つほど考えられる。

 まず洋室の窓から数十センチ先に建物ができたため、窓の意味がなくなったことが考えられる。アルス東陽町竣工時は窓から洲崎川緑道公園が眺望できたが、その後すぐに301号室に面する隣接地に作業所が建設され、窓が建物で塞がれる状態になった。

 東急不動産(販売代理:東急リバブル)は、この状態になることを把握していたにもかかわらず、新築分譲時には説明せず、逆に「二面採光・通風」をセールスポイントとして販売した。引渡し後に真相を知った購入者は消費者契約法(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消した(拙記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」参照)。

 今回、アルス東陽町301号室が売りに出されたのも、契約取消しによって、東急不動産に返品されたためである。このような経緯があるため、東急リバブルが洋室の窓を強調したくないと考えた可能性がある。

 次に、洋室の窓の結露の問題がある。アルス東陽町301号室の洋室の窓では冬場に結露が発生した。窓ガラスの表面や窓枠上部に無数の水滴が付着し、ポタポタと下に垂れ落ちてくる。窓のサッシが水溜りになり、あふれて流れ出てくるくらいであった。窓枠の下にタオルをしき、吸収させるほどであった。洋室の窓の数を減らし、なるべく目立たないようにすることで結露の問題にも気づきにくくしたいという思いがあるのかもしれない。

 虚偽の2点目は、駐車場料金だ。私は2007年12月28日に駐車場料金を僅か600円とする虚偽広告が公開された時点で、「東急リバブル、またまた虚偽広告」との記事を書いた(掲載は1月8日)。

 広告を更新した1月4日からは、今度は、駐車場料金が月額2万円に変更された。

 しかし、アルス東陽町の駐車場料金は月額で機械式駐車場の上段が3万2000円、下段が3万円である。広告記載の600円、2万円の両方とも誤りである。

 修正後の駐車場料金が誤った金額で、新たに追加された間取り図にも虚偽があるというのは、本当によくわからない。消費者に正確な情報を伝えたくないのだろうと想像するしかない東急リバブルの企業体質には驚かされる。

東急リバブル虚偽広告の悪質性

コメントに返答します。東急リバブルの虚偽広告の悪質性について以下の通り説明します。
第1に通常、実際の駐車場料金である3万2千円及び3万円を600円に入力間違いすることはあり得ません。30000円と入力すべきところを、3000円にしてしまうことはあり得るかもしれませんが、600円には繋がりません。
第2に東京で月極600円は常識的にあり得ないという御意見には同意します。入力間違えの結果、あり得ない金額になってしまったならば、むしろ容易に気付く筈です。よって、あり得ない金額を表示したことは東急リバブルの悪意を強化する要素と判断できます。
第3に東急リバブルは過去にもアルス東陽町の別の住戸の仲介広告で駐車場料金を600円とする虚偽表示をしています(別記事「不動産広告にだまされないように」参照)。同じ虚偽表示を繰り返す点から入力ミス以上の悪意をうかがうことができます。
第4に東急リバブルは今回のアルス東陽町301号室の仲介広告で駐車場料金以外でも虚偽広告をしていることが判明しました(別記事「東急リバブル、間取り図でも虚偽広告」参照)。
第5に東急リバブルはアルス東陽町301号室の新築分譲時の販売代理で不利益事実を告知しなかったため、消費者契約法に基づき売買契約を取り消されています(別記事「東急不動産の遅過ぎたお詫び」参照)。このような経緯があるならば通常以上に慎重になるのが普通であり、すぐに分かる入力ミスをするとは考えられません。悪質な虚偽広告と判断する所以です。

林田力「東急リバブル媒介物件でお粗末な事件発覚」オーマイニュース2008年1月30日

大手業者の仲介物件も信じられない!

 東急リバブル株式会社東陽町営業所が専属専任で媒介するマンション「アルス東陽町」(東京都江東区)301号室において、電気使用開始の連絡をせずに、電気を使用していることが判明した。

 東京電力株式会社江東支社は、2008年1月22日付で「電気使用開始手続きのお願い」という文書を出した。そこには下記のような記述があった。「本日、検針にお伺いいたしましたところ、7kWhのご使用が確認されました。しかしながら、当ご使用場所においては電気のご使用開始の連絡をいただいておりません」
 301号室は東急不動産株式会社(販売代理:東急リバブル)が、2003年に分譲した。しかし、販売時に不利益事実不告知(隣地の建て替えを説明しなかった)があったため、購入者(=林田)から消費者契約法第4条第2項に基づき、売買契約を取り消された。売買代金返還を求める裁判を経て、301号室は、2007年10月 29日、購入者から東急不動産に明け渡された。2007年12月末以降、東急リバブルの媒介で売りに出されている。〔参照「東急リバブル、間取り図でも虚偽広告」〕。

 東急不動産への明け渡しまでは、購入者が東京電力と契約し、電気料金を支払っていた。明け渡し前に、電気の使用停止手続きを実施し、ブレーカーを落とした状態で東急不動産に明け渡した。よって明け渡し後、使用開始手続きをせずにブレーカーをあげて、電気を使用したことになる。301号室は東急不動産への明け渡し以降、空き家であるため、媒介広告に掲載する室内写真撮影や間取り図作成、購入検討者が内覧する際などで電気を使用したものと考えられる。使用量が僅か 7kWhである点も、その程度の使用と推測される。

 本件は単なる電気料金の滞納と異なり、301号室が売り物件である点が問題を複雑にしている。このままの状態で301号室が売却された場合、新たに居住する人は、東京電力に電気使用開始手続きをする際に、無断で使用した電気についても請求されかねない。

 仮に売主の側で電気使用開始手続きを行い、無断使用分を支払ったとしても、無断使用した事実は残る。それがために契約条件が厳しくなるというような、不利益を受けることはないだろうが、新しい所有者にとって気持ちの良いものではない。

 マンションは管理を買え、と言われる。自分が購入する住いだけではなく、共有部分の管理にも目を向けろという意味で使われる。しかし本件は、専有部分の管理面でも落とし穴がないか、購入検討者が確認する必要があることを示している。

林田力「東急の新築マンションでも広告表記訂正」オーマイニュース2008年2月1日

最寄り駅から4割も遠くなったブランズシティ守谷

 以前、東急リバブル株式会社による仲介マンションの媒介広告で虚偽内容について記事「東急リバブル、間取り図でも虚偽広告」を書いた。

 今度は東急不動産株式会社らが分譲し、東急リバブルが販売を代理する新築マンションで広告表示の問題が判明した。問題の物件は東急不動産株式会社、東京急行電鉄株式会社、中央商事株式会社が分譲する「ブランズシティ守谷」(守谷市ひがし野)である。ブランズシティ守谷は当初、最寄り駅(守谷駅)までの所要時間を徒歩5分としていたが、2008年1月下旬に徒歩7分に修正した。

 遅くとも2008年1月20日以降、ブランズシティ守谷の公式ウェブサイトのトップページに以下の「訂正とお詫び」が掲載された。

駅徒歩分数表示については、これまでペデストリアンデッキエレベーターを起点とし、「駅徒歩5分」の表示をして参りましたが、同施設が首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス)ではないことが判明したため、守谷駅八坂口を起点として 「駅徒歩7分」とすることと致しました。
お詫びして訂正させて頂きます。

 前述の通り、ブランズシティ守谷の事業主は3社だが、以下の理由から東急不動産主導であると推測される。

・ブランズシティは東急不動産の大規模型マンションのブランド名である。
・ブランズシティ守谷のウェブサイトのドメインmoriya550.comの登録者はTOKYU LAND CORPORATION、すなわち東急不動産である。

 ブランズシティ守谷の表示修正は不動産業者として信じ難いものである。単なる事務的なミスでは済ませられない、事業者の体質をうかがわせるものである。

 第1に最寄り駅までの所要時間は不動産購入を検討する上で重要な要素である。そのような重要な要素に誤表記があるということ自体が問題である。特に守谷を含む「つくばエクスプレス」沿線は「つくばエクスプレス」開通によって通勤通学圏として開発された場所が多く、駅からの距離は生活の利便性を図る上で重要な要素である。

 また、ブランズシティ守谷のような超高層大型物件の場合、マンション敷地から自宅玄関まで3〜5分かかる。敷地が広ければ、その分、歩く必要がある上、高層階ならばエレベーターの待ち時間がかかる。

 第2に修正前後の幅が大き過ぎる。徒歩5分から徒歩7分への変更により、ブランズシティ守谷は最寄り駅から4割も遠くなったことになる。感覚的にも徒歩5分ならば徒歩5分圏内、徒歩7分ならば徒歩10分圏内と別カテゴリーに分類されることが多い。微修正では済まされないほどの相違である。消費者に正確な実態を教えようという意図ではなく、実態とは異なっていても駅からの距離を近く見せたいという狙いがあったのではないかと思われる。

 第3に修正時期が遅過ぎる。ブランズシティ守谷のモデルルームが開設されたのは2007年9月である。ちなみに公式ウェブサイトのモデルルーム写真は2007年7月撮影とある。

 駅までの所要時間が修正されたのはモデルルーム開設から4カ月も経過した後である。修正される前からインターネットの掲示板などでは、徒歩5分が実感と相違すると指摘されていた。ブランズシティ守谷の問題を扱ったウェブサイトでは2007年12月8日の時点で守谷駅からブランズシティ守谷とほかのマンションの写真を並べ、距離感を比較できるページ「守谷駅から見たブランズシティ守谷:ブランズシティ守谷ハッピー守谷〜高層新築分譲マンション問題〜」を公開している。

 第4に修正理由が問題である。修正理由は「同施設(記者注:ペデストリアンデッキエレベーター)が首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス)ではないことが判明したため」とする。まず日本語として意味が通じない。施設が株式会社でないことは当たり前である。修正前はペデストリアンデッキエレベーターを首都圏新都市鉄道株式会社だと思っていた訳ではあるまい。

 この文章は、その後、「同施設が首都圏新都市鉄道株式会社(つくばエクスプレス)の所有ではないことが判明したため」に修正された(2007年1月26日確認)。この事実をモデルルーム開設から4カ月後になって初めて知ったならば、宅地建物取引業者として粗末である。

 より重要なことは、ペデストリアンデッキエレベーターの所有者が誰かという形式的な視点で距離の基点を決めている点である。ペデストリアンデッキエレベーターを起点とすると徒歩5分となり、守谷駅八坂口を起点とすると駅徒歩7分になるならば、八坂口からペデストリアンデッキエレベーターまでは徒歩2分の距離があることになる。

 実際、駅出口からペデストリアンデッキが伸びているため、それくらいの距離があるが、それを客観的に駅施設と位置付けるのは無理がある。消費者感覚ではペデストリアンデッキの昇り口まで着いたことをもって駅に着いたとは言わない。たとえペデストリアンデッキが首都圏新都市鉄道の所有物であったとしても、ペデストリアンデッキエレベーターを守谷駅の入り口とする理由にはならない。

 今回の「訂正とお詫び」は裏を返せばペデストリアンデッキが首都圏新都市鉄道の所有物ならばペデストリアンデッキエレベーターまでを守谷駅として所要時間を表示するつもりであることを宣言するものである。消費者の立場に立って正確な情報を提示するのではなく、ブランズシティ守谷を実態以上によく見せるための論理しかないことを物語る。

 事業者側の対応で唯一評価できる点があるとすれば、販売開始時期が2008年1月から3月中旬に延期されたことである。販売が開始されなければ申し込めないため、少なくとも誤った情報に基づいて申し込む人はいなくなる。しかし、これは記者の好意的判断に過ぎず、実態は異なるものであった。

 記者が2008年1月20日、ブランズシティ守谷マンションギャラリーに電話して確認したところ、販売開始時期の延期は販売価格や手数料の変更によるもので、所要時間の変更が理由で遅れた訳ではないと断言された。やはり事業者には消費者に正しい情報に基づいて判断してもらおうとする意識が乏しいと言える。

 東急不動産分譲、東急リバブル販売代理の組み合わせでは東京都江東区で分譲したアルスでは、販売時に隣地建て替えなどの不利益事実を説明しなかったために消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき売買契約が取り消された。

 この件について東急不動産とも2007年10月にウェブサイトに以下の「お詫び文」を掲載した(参照「東急不動産の遅過ぎたお詫び」)。

 弊社が平成15年(2003年)に江東区内で販売致しましたマンションにおきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。本件を踏まえまして社内体制を整え、再発防止及びお客様へのより一層のサービス提供を行なってまいる所存でございます

 しかし、ブランズシティ守谷での広告表示を見る限り、質の高いサービス提供をするつもりがあるのか疑わしい。お詫び文は自体、2007年11月には跡形もなく削除された。ブランズシティ守谷の広告表示からは東急不動産の「お詫び」が内実を全く伴わず、表面だけのものに過ぎないものであると感じられる。

マンション管理

林田力「東急コミュニティーがマンション管理人を営業活動に“流用”」JANJAN 2007年3月23日

大手マンション管理会社の(株)東急コミュニティー(東京都世田谷区)が、業務時間中のマンション管理人を自社グループの営業活動に利用している。東急コミュニティーの社内文書「CS業契約社員報奨制度」から判明した。

 東急コミュニティーは、社内ルールで以下の作業を管理人(アメニティーメイト)の本来業務と定めている。
・住み替え情報・リフォーム情報を収集し、営業担当者(不動産流通・リフォーム)に連絡する。
・売却・賃貸予定の空き部屋物件の鍵を保管する。
・空き部屋物件の内覧を希望する顧客案内を補助する。
・リフォーム工事監理業務を補助する。
・リフォーム販促チラシを配布する。

 同社はマンション管理業の他にリフォーム工事事業や賃貸・仲介事業にも携わっており、マンション管理人に営業支援的な仕事をさせていることになる。

 しかも同社は、フロント担当者や管理人からの情報が売買物件成約・賃貸物件成約・リフォーム工事受注等に結びついた場合に報奨金を支払う、としている(カスタマーサービス業契約社員報奨制度)。また、フロント担当者や管理人に日常業務で受託管理物件の住民から住み替え希望やリフォーム希望を収集することも推奨している。

 マンション管理人などが、こうした情報を得た場合には同社の営業担当者(不動産流通・リフォーム)に連絡し、この情報からの営業活動で売買契約などが成立すると、報奨金を支払うことになっている。報奨金額は以下のように規定されている。
・不動産売買:1件5万円
・賃貸:1件5千円
・リフォーム:受注金額の2パーセント

 マンション管理人の業務内容・業務時間帯は、管理組合と同社との間の管理委託契約によって定められている。しかし、東急コミュニティーは管理会社に断りなく、管理人の勤務時間を自社の営業活動に従事させていることになる。これは、管理組合に対する背信行為だ。

 実際、同社に管理を委託していたマンション(東京都江東区)で問題になった。東急コミュニティーの管理業務主任者は当初、「居住者に良かれと思ってやっている」と正当化した。しかし、マンション管理人を同社の営業活動に従事させることが居住者の利益になる、と本気で考えているのなら理事会の承認を得るという手続きを踏むべきである。

 結局、この管理組合理事会の強い要請で東急コミュニティーは止めることを約束したが、他の問題(修繕積立金不足、管理委託契約書通り業務を実施していない、管理委託費が他社と比べて高額等)も重なり、管理組合側の不信感は解消されず、組合は別の管理会社に管理を委託した。

林田力「事故を公表せず、隠そうとする体質が多い」オーマイニュース2007年5月17日

貯金口座や振込み依頼書などが流出した

株式会社東急コミュニティーは、ある管理組合宛の文書を外部に流出させた。

 漏洩されたのは、同社東京東支店が、管理を受託するH東陽町管理組合(江東区千石)の財務文書等である。H東陽町管理組合は、東急コミュニティーに管理を委託し、東京東支店が担当している。

 東急コミュニティーから判明した流出文書は、以下の通りである。

 ・ 組合管理台帳預金口座一覧

 ・ 三井住友銀行宛残高証明依頼書兼預金口座振替依頼書

 ・ UFJ銀行宛残高証明依頼書

 ・ 東京三菱銀行宛残高証明依頼書兼預金口座振替依頼書

 流出文書により、H東陽町管理組合の預金口座開設金融機関名や預金残高、当時の管理組合理事長宅の住所や電話番号が分かってしまう。

 これらの文書は、同社からH東陽町管理組合役員宛に送付されるべきものであった。

 ところが、同社東京東支店担当者は、何故か別のマンション管理組合であるA東陽町管理組合役員に送付したのである。A東陽町も同社東京東支店に管理を委託し、H東陽町の担当者と同じ人物が担当していた。

 A東陽町管理組合役員からの連絡によって文書流出が判明(2006年1月17日)。

 しかし、文書流出発覚後の同社の対応は遅かった。

 東急コミュニティーが、管理組合に文書で報告したのは3カ月後の2006年4月19日である。

 管理組合役員による、再三の説明要求の後である。

 しかも、「当時の担当者が、すでに退職している関係から調査は不可能であり、何卒ご容赦頂きたく」と言うだけで、文書流出の詳細は不明のままである。

 東急コミュニティーには、自社の誤りを積極的に調査・公表し、再発防止につなげる事をしないで、隠蔽しようとする体質があるのではないかと疑わせる。

 情報漏洩への対処は、積極的に事実を公表した方が、信用を失う度合いが少なくて済むはずだ。隠蔽しようとすれば、大きく社会的信用を失ってしまうことは経営の常識である。

林田力「マンション管理会社を変更して、経費削減に成功」オーマイニュース2007年8月28日

剰余金発生、修繕積立金に繰り入れられるまでになった

 東急不動産株式会社が分譲したマンション「アルス」(東京都江東区)では、管理会社を独立系の会社に変更した結果、管理委託費を年間約120万円も削減でき、変更から1年後には一般会計の余剰金を修繕積立金会計に繰り入れるまでになった。

 アルスは、売主である東急不動産の指定により、分譲当初から東急不動産の子会社である株式会社東急コミュニティーに管理を委託していた。管理委託費は東急コミュニティーの言い値で決められている状況であった。しかし東急コミュニティーが作成した長期修繕計画に計算誤りが判明したため、管理会社変更の機運が高まった。

 東急コミュニティーが2004年6月9日に作成した長期修繕計画では、一般会計に算入されている駐車場駐輪場料金(年額200万円弱)を修繕積立金会計に算入して、資金計画を立てていた。実際の修繕積立金会計の収入は、計画上の修繕積立金収入額よりも、駐車場駐輪場料金に相当する200万円分少ないことになる。

 ここで長期修繕計画通りに支出が行われた場合、最初の大規模修繕時には、修繕積立金が1013万1千円不足することになる。現行の修繕積立金の年間積立額は196万4280円であるため、この不足額は約5.16年分の積立金額に匹敵する。

 また、東急コミュニティーによる管理組合文書漏洩も明らかになった。文書漏洩判明後の東急コミュニティーの対応も、管理組合の不信感を高める一方であった(記事「事故を公表せず、隠そうとする体質が多い」参照)。

 事態を重視した管理組合理事会は、管理委託費を削減するため、複数の管理会社に見積もりを依頼した。この見積もり依頼の過程で、東急コミュニティーが管理委託契約書通り業務を実施していないことも判明した。

 第1に管理委託契約書では、宅配ボックスの定期点検回数は年4回とある。しかし、実際は年1回しか実施していないことが判明した。

 第2に管理委託契約書ではホームセキュリティー業務として、各専有部分の侵入警戒を実施することを定めている。しかし実際は一戸の専有部分しか侵入警戒を実施していなかった。

 10社以上の管理会社に見積もりを依頼した結果、現行と同程度のサービス内容で、年間60万円〜170万円も管理委託費を軽減できることが判明した。並行して東急コミュニティーにも値下げを複数回打診し、毎回断られた。

 管理組合理事会では、2006年7月31日、見積もりを提示した管理会社から5社に絞り込み、住民向けに説明会を実施した。説明会後の住民アンケートで独立系管理会社N社が多数の支持を得た。決め手は以下の通りである。

 ・管理委託費の安さ
 ・近隣マンションでの管理実績
 ・資料の充実度(管理委託契約案まで添付していた)
 ・事前準備の綿密さ (見積もり時にマンションの図面などを要求する管理会社が多いなかで、N社は情報サービス会社を利用して情報収集しており、役員の負担が軽かった)

 アンケート結果を受け、2006年8月26日、管理組合総会でN社に管理を委託することを決定した。東急コミュニティーとは、分譲後僅か3年で関係を終了したことになる。管理会社をN社に変更することで管理組合は年間約120万円も管理委託費を削減できた。

 1年後の2007年8月26日、管理会社変更後の最初の定期総会で、一般会計の余剰金は修繕積立金会計に繰り入れた。

 管理委託費の安い管理会社に変更する場合、「安かろう、悪かろう」の心配が指摘されるが、全くの杞憂であった。実際、N社の仕事ぶりは東急コミュニティーを上回った。

 東急コミュニティーが建物点検で全く指摘していなかったマンション共有部の不具合を幾つも指摘し、東急不動産と折衝し、(管理組合の負担ではなく)アフターサービスで補修させた。主な不具合は以下の通りである。

 ・エントランス天井排水管周りの漏水
 ・ゴミ置き場の鍵の破損
 ・エントランスのタイル・シール目地が固まっていないことによるタイルの染み
 ・排水通気管が細いことによる排水時のゴボゴボ騒音

 最後の排水通気管の問題は、「マンション欠陥施工に対する東急不動産の呆れた説明」で取り上げている。

 また、駐輪場利用者名簿を整備する過程で、東急コミュニティーが駐輪場使用者に駐輪場使用料を請求しなかったり、逆に、駐輪場非使用者に駐輪場使用料を請求したりしていた事実が判明した。

 一般に分譲マンションではデベロッパーにより、デベロッパーの子会社を管理会社とすることが強制的に指定されている場合が多い。これはマンション住民にとっては抱き合わせ販売に他ならない。

 一方、管理委託費を削減し、余剰金を修繕積立金に回すことは、管理費・修繕積立金の値上げや大規模修繕時の一時金というような負担を低減することになり、マンション住民にとって魅力的な方法といえる。

 管理会社の変更は自由の筈だが、決めるのは個人ではなく区分所有者の集まりである管理組合であるため、進め方が難しいことも事実である。本記事が管理組合を良くしていこうと考えるマンション住民の参考になれば幸いである。

コメント

購入者はマンション購入時に「管理組合が東急コミュニティーに管理を委託すること」を承諾する形でした。管理組合と東急コミュニティーとの間で締結した管理委託契約では期間を2年間と定めていました。契約書の文言は東急コミュニティーが作成・印書したものを、そのまま使用しました。

ご指摘の通り、分譲元子会社の管理会社から独立系子会社に変更する例が増えています。それだけ賢いマンション住民が増えているということでしょう。東急コミュニティーを解約する例は特に多いと聞きます。見積もりを依頼した管理会社の方も東急コミュニティーから変更した実績が多いと口を揃えて言っていました。
デベロッパー系管理会社は自動的に管理業務を委託されるため、マンション住民を顧客と思わず、社会人としての基本的なマナーさえできていない従業員も少なくありません。ご指摘の通り、胡坐をかいていると言えます。
「安かろう、悪かろう」の懸念は管理会社変更時も指摘されましたが、複数の管理会社に見積もりし、そのどれも(デベロッパー子会社も含む)が東急コミュニティーよりは年間60万円以上安く、また、他社と比べて突出して安いところはなかったため、東急コミュニティーのみが相場より高いと判断しました。

東急コミュニティー解約での問題

標準管理規約に基づくならば契約期間があっても3ヶ月前に通告すれば解約できることになっていますが、そのような規定を持たない契約があるかもしれません。
東急コミュニティー解約で問題になったのは東急コミュニティーが監視のための機械を管理室に設置しており、その撤去費用の負担でした。契約では管理組合負担とも読めるようになっており、実際に請求された管理組合も存在するようですが、本件では交渉により管理組合は撤去費用を負担しませんでした。

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